温度の違う二つの系が接触すると,温度の高い方は温度を下げ,温度の低い方は温度を上げるというふうに,同じ温度の実現に向かう。
これは,二つの系を合わせて一つの系に見たときの,「エントロピー増大則の実現」になる。
この現象をひとは「熱の移動」ととらえる。
さらにここから,「熱」を主題化する (「熱学」)。
「熱」「熱の移動」は,分子・原子レベルを「ミクロ」としたときの,マクロ的表現ということになる。
「熱の移動」を分子・原子レベルで説明 (解釈) すると,つぎのようになる:
- 温度の違う水と水の接触だと,「両方の水分子が混ざる」の話になる。( 「混ざる」)
温度の高いと低いの違いは,分子の運動量 (平均) の違いである。
この運動量 (平均) の違う分子が最終的に均質に混ざることが,一つの温度の実現になる。
- 温度の違う水と鉄の接触だと,「仕事と運動量の変化」の話になる。
水の分子は運動する分子であり,仕事をする。
鉄の分子 (原子) は振動する分子であり,仕事をする。
水分子と鉄分子の間,水分子同士間,そして鉄分子同士間で,「仕事と運動量の変化」が起こる。
そしてこの「仕事と運動量の変化」により,系全体として一つの温度の実現に向かう。
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