Up 「エネルギー → エントロピー」 作成: 2017-06-26
更新: 2017-06-26


    理論の構築は,形式言語の構築である。
    これは,統辞論 (syntax) と意味論 (semantics) の併行構築になる。
    この内容は,基礎概念 (無定義) と公理の設定である。

    「<種・必然>の力学」の理論構築では,つぎの二つが基礎概念 (無定義) になる:
    1. エネルギー
    2. エントロピー
    そして,つぎが公理になる:
    1. 系のエネルギーは不変 (「エネルギー保存則」)
    2. 系は,エントロピーを増大させる (「エントロピー増大則」)

    系は,誕生し,生き,そして死ぬ。
    系の<誕生>は,<エントロピーゼロから開始>である。
    系の<生きる>──ここでは<種・必然を生きる>──は,<エントロピー増大にかなうエネルギーシフトを,その都度行う>である。
    系の<死>は,<エントロピーのこれ以上の増大は,かなわない>である。


    系の<生きる>──<向エントロピー増大のエネルギーシフトを,その都度行う>──を,シフトしたエネルギーと実現したエントロピーの関数と見る:
      f:エネルギー → エントロピー
    <生きる>──<向エントロピー増大のエネルギーシフトを,その都度行う>──には,fが増加関数であることが対応する。
    そして,エントロピー増大にシフトのエネルギーxがf'(x) =0 を満たすところで,<死>となる。

    「エネルギー不変」と定めている系のそのエネルギーを,統計力学に倣って,Eで表す。
    Eは,系の各ステージで,エントロピー増大に既にシフトされたエネルギーと未だシフトされていないエネルギーの和になる。
    統計力学に倣い,未だシフトされていないエネルギーを「自由エネルギー」,既にシフトされたエネルギーを「熱エネルギー」と呼ぶ。

    「自由エネルギー」の名の趣意は,「本来,用途自由」である。
    「熱エネルギー」の名の趣意は,以下に示すように,「温度」と係わるからである。

     注意: 系の<死>であるところの<エントロピーのこれ以上の増大は,かなわない>は,<自由エネルギーが無くなる>とは違う。 ( 「死に損なう」)

    定義から,系のエネルギーE,自由エネルギーF,熱エネルギーH,エントロピーS,関数fは,つぎの関係になる:
      E = F+H
      f(H) = S

     注意: E,fは定数記号,F, H, Sは変数記号。


    関係「f(H) = S」は,つぎのようにも書ける:

    ここで,統計力学/熱力学の記号法に近づけるために,f′ をβと書く。
    そして,「温度」の語を,つぎのように導入する:
      熱エネルギーHに対するβ(H) を,「熱エネルギーHにおける系の温度」と呼ぶ。
    即ち,エントロピー増大に既にシフトされたエネルギーがHになっているときの系の温度」が,β(H) である。

    特に,系の<死>は,系の温度がゼロになるときである。


    なお,βが定値関数 β(H) ≡ βであれば,
      S = H × β
    即ち,S/βが熱エネルギーである。


     註: 統計力学/熱力学の温度βは,生活で使われている温度──常用温度──を絶対温度で表したTと,つぎの関係になる:
       β= 1/(kB T)
    ここで,kB はつぎの値であり, 「ボルツマン定数」と呼ばれる:
       1.38064852 × 10−23
    βは,温度の高い・低いがTの逆になる
       「温度」