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6.3 学習法に対する誤解



 つぎのように言ってもかまわないだろう。子どもの数学学習の現状は,「形」の学習法がそもそも知られていないというものである。“「形」の学習法は承知されているがその実践が難しい”という段階のはるか以前である。

 実際,圧倒的に多くの学習者が,あいかわらず,生成の結果を飲み込むことを学習と思っている。即ち,「暗記」を,ノウハウの蓄積を,「できる」の伸張を,学習法と思っている。「わからない」と感じつつ学習を続けている。いまはわからなくとも,がまんして勉強をつづければいつか「わかる」がやってくるだろう,と自ら言い聞かせているかのように。しかも悪いことに,このように学習者に言い聞かせる教師もいる。

 つぎの立場に立とう:

“はじめから学習法を誤った学習に勝算はない”

 ノウハウを鵜呑みにできるのは,数が少ないうちだ。多くなればもう入らない。「できる」路線の学習は早晩破綻する。

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