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はじめに
わたしたちは,「測定」という事態に改めて一つの「形」(構造)を見るというようなことは普通しません。この「形」は,あえて指導されるのでなければ意識にのぼりません。そこで算数/数学科が登場するわけです。
実際,この「形」を取り出すときそれは数学の内容になります。「測定」が算数/数学科の指導内容になるのは,このためです。
(以下の議論では,「量」として長さ,重さ,速さ,‥‥のうちの任意の一つを考えて下さい。)
さて,「測定」ではつぎのことを前提していることになります:
(*)
つぎの条件を満たす量uが存在する:
---
「任意の量xがuのn倍という形に表現できる;
しかもこのときのnは一意的に決まる」
測定で「単位」になっている量は,ここでのuの資格で使われています。量を単位のn倍と表現したときのnは「
(測定) 値
」と呼ばれます。あたりまえすぎて意識にのぼりませんが,値nが一意であるということは本質的です。実際,測るごとに値がフラフラするならば,それは「測定」ではないわけです。
特に,「“単位の何倍”という形に量を表現すること」が「測定」の意味になります。
条件(*)は,「量」を「
1次元
の空間」と規定するものです。この主題は,高校数学の「ベクトルとスカラ」を経て,大学数学の「線形代数」に連なります。逆から言うと,「線形代数」の1次元版が小学校算数科の「量と数」の単元で扱われ,2次元版が高校数学の「ベクトルとスカラ」で扱われるわけです。