Up 出口論の内容空虚 作成: 2010-08-16
更新: 2010-09-20


    ひとが現前を理由づけようとするときは,「目的」を以て理由づけようとする。 「これこれの目的のためにそれは在る」という形である。
    このようにするのは,これがひとにとってのわかりやすい形だからである。
    出口論は,学校数学をこの形で理由づける。 よって,ひとの容易に受け入れるものになる。

    しかし出口論は,一見意味のあることを言っているようだが,内容を煎じ詰めると空虚を曝す。 すなわち,出口論は出口を記述するが,そのことばの中身はリアルであることができない。
    実際,出口は,行為語「○○」を使って「○○できる人材」という形で記述される。 しかし,「○○できる」は,内容・状況・経験値依存であり,そして程度問題ある。 「○○できる人材」は,現実に存在できない。

    加えて,出口の設定は,これを出口とする学校数学を導けない。 出口論は学校数学の構築に進むことにはならず,出口論のままで終わる。
    出口の設定が学校数学を導かないのは,数学がもともとそのようなものではないからである。