Up 「成長」を考えるヒント:言語習得の含意 作成: 2009-04-21
更新: 2009-09-10


    人類の歴史は,人の世界をつくってきた。
    人の世界は独自のものである。
    人が生きるとはこの独自の世界に生きることであり,成長とは<人の世界に生き得るカラダ>を形成することである。

    言語は,この成長の最も重要な要素の一つである。
    人の世界は,高度な論理を扱えなければ生きられないものになっている。
    そして,この高度な論理が,言語の中に実現されている。
    人は,言語の習得によって,ひとりでに高度な論理を扱う者になる。──<論理を知らないで,高度な論理を扱う>者になる。

    これと同様に,数学が成長の要素の一つになる。
    人の世界に生きるためには,数学学習によって形成されるカラダ (傾向性) が要る。
    「道具」として意識される数学のレベルに対して,意識されない暗黙的な数学のレベルがある。 この暗黙的な数学の形成が,<人の世界に生き得るカラダ>の形成の要素になっている。
    数学の「役に立つ」は,何よりも先ず,この暗黙的な数学の役割において考えられねばならない。