Up 「数学のカラダ」論の非科学の意義 作成: 2010-08-04
更新: 2010-08-04


    本論考の「数学のカラダ」論は,非科学である。
    独りわたしの経験を拠り所にして,臆見を述べている。

    この非科学を提示するのは,非科学でよしとしているからである。
    非科学でよしとする理由は,つぎのようになる:

    • 「数学のカラダ」は,数学教育学が基本/主要主題として主題化しなければならないものである。
    • 「数学のカラダ」論は,科学にならない。 科学にならないのは,長い時間スパンの経験を拠り所にする経験論だからである。
    • 非科学には,科学の限界 (貧困・低次元) を表現する/示すという意義がある。 非科学との対照がなければ,科学は己の限界 (貧困・低次元) を自覚できない。
    • 数学教育学として実際的な論を起こそうとすれば,それは非科学になる。 理由は,数学教育が単純系の科学には乗らない複雑系だからである。

    数学教育学で非科学を立てるのは,科学からのエスケープではない。 <現前>をそのままに扱おうとすれば,非科学になる。
    エスケープということでいえば,複雑系の次元に入っていくはずのない単純系の科学で数学教育学を回収しようとするのは,<現前>からのエスケープである。