《「量の比例関係のうえの位対応」から導出されるのが,「1次関数」》の数学は,「アフィン空間・アフィン写像」である:
- 「数の系」「量の系」「位の系」を,つぎの構造として考える:
数の系: (数, +, ×)
量の系: ( (量, +), ×, (数, +, ×) )
位の系: ( 位, +, ( (量, +), ×, (数, +, ×) ) )
(構造表記の中で「数」「量」「位」と記しているものは,集合。)
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例1. |
実数:(, +, ×)
直線上の移動:( (移動, +), ×, (, +, ×) )
直線上の位置:( 位置, +, ( (移動, +), ×, (, +, ×) ) )
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2. |
実数:(, +, ×)
時間経過 (時間軸上の移動):( (時間, +), ×, (, +, ×) )
時刻 (時間軸上の位置):( 時刻, +, ( (時間, +), ×, (, +, ×) ) )
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なお,位の要素X, X′ と量の要素xに対する
の別表記として,
を用いる。
- 量の一つの要素u (≠0) を「単位」として固定する。
量の任意の要素qは,「単位の何倍」(「何」は数) の形に一意的に書ける:
nを,「単位uに対するqの値」と呼ぶ。
例1. |
直線上の移動 ( (移動, +), ×, (, +, ×) ) において,「正方向に m (メートル) 移動」(m) を単位にする。
このとき,任意の移動が,「何m」(「何」は実数) の形に一意的に書ける。
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2. |
時間経過 ( (時間, +), ×, (, +, ×) ) において,「未来方向に分経過」(分) を単位にする。
このとき,任意の時間経過が,「何分 」(「何」は実数) の形に一意的に書ける。
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位の一つの要素Oを「基準」として固定する。
位の任意の要素Pは,「基準から量どれだけ」さらに「基準から単位の何倍」(「何」は数) の形に一意的に書ける:
nを,「枠 (O, u) に対するPの値」と呼ぶ。
例1. |
高さ:( 位置, +, ( (移動, +), ×, (, +, ×) ) ) において,「上方向に m (メートル) 移動」(m) を単位にし,「海水面」を基準にする。
このとき,任意の高さが,「海抜何m」(「何」は実数) の形に一意的に書ける。
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2. |
時刻:( 時刻, +, ( (時間, +), ×, (, +, ×) ) ) において,「未来方向に年経過」(年) を単位にし,「紀元」を基準にする。
このとき,任意の時刻が,「紀元何年」(「何」は実数) の形に一意的に書ける。
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- 量の比例関係は,「一方が 2, 3, ‥‥ 倍のとき他方も 2, 3, ‥‥ 倍」の関係である。
これは,二つの量の系 ( (量1, +), ×, (数, +, ×) ),( (量2, +), ×, (数, +, ×) ) に対し
つぎの条件を満たす関数f: 量1 → 量2 のことになる:
f( q × n ) =f( q ) × n
( q ∈ 量1,n ∈ 数 )
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上の二つの量の系が,つぎのように位の系に含まれているとする:
( 位1, +, ( (量1, +), ×, (N, +, ×) ) )
( 位2, +, ( (量2, +), ×, (N, +, ×) ) )
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fに対しつぎの条件を満たす関数F: 位1 → 位2 を,「比例関係f: 量1 → 量2 を伴うアフィン関係: 位1 → 位2 」と呼ぶ:
F( P + q ) =F( P ) + f( q )
(P ∈ 位1,q ∈ 量1 )
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あるいは「ー」記号を用いた別表記だと:
F( P′ ) ーF( P ) = f( P′ ーP )
(P, P′ ∈ 位 )
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例. |
時刻:( 時刻, +, ( (時間, +), ×, (, +, ×) ) ) と高さ:( 位置, +, ( (移動, +), ×, (, +, ×) ) ) を考える。
時刻の枠に (紀元, 年) をとり,高さの枠に (海水面, m) をとる。
f:時間 → 移動 は,測度を考える。
F:時刻 → 高さ は,つぎの条件を満たす対応を考える:
時刻Pから時間q経ったときの高さ = 時刻Pのときの高さからf(q) 移動したときの高さ
fは比例関係であり,Fはアフィン関係である。
つぎは,f,Fの例である:
f(年) = m × 2(「毎年2m高くなる」)
F(紀元) = 海抜5m
F(紀元n年) = F(紀元) + f(年 × n)
= 海抜5m + (m × 2) × n
(「紀元n年の高さは,紀元のときの高さ5m に2m のn倍を加えた高さ」)
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「アフィン空間・アフィン写像」は,数学的定式化を示されるとわけがわからないふうになるが,例が示すように,アタリマエにやっていることを数学にしただけである。
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