Up | English 学校数学の関数の「x, y」の解釈  


「入出力マシン」の要素
変数と定数


    学校数学では,伝統的に「変数x, y」を使った関数表現を使っている。
    「変数 (variable)」とは何か?
    変わる数?
    そんなものは,数学にはない。
    数学が「対象」とするものには,それ自体が生き物のように変わるものはない。

    数学は,それ自体が生き物のように変わるものを,対象にしない。
    なぜなら,「変わるが,依然同一である」ような対象を考えることでロジックをめんどうにすることには,メリットがないからだ。

    関数は,「変化」の表現にも使うが,その表現の中には「自ら変化するもの」は存在しない。


    「変数 x, y」とは,それぞれ,xと名付けられた容器,yと名付けられた容器のことである。
    xにはいろいろな対象 (ただし,定義域にあるもの) を入れることができる。そして,xに入る対象に応じてyにいろいろな対象が入る。


    特に,ここには「自ら変化するもの」は存在しない。


    さて,変数x, yを使った関数表現は,どんな意味なのか?
    答: 例えば,「関数y=2x」は,つぎの意味である:

      容器xの中に入れた数の2倍の数を,容器yの中に入れる働き (function)

    一方,この関数を「入出力マシン」として表現すれば,つぎのようになる:

      入力された数の2倍の数を出力する働き (function)

    この入出力マシンを図と式 (記号列) で表現するならば,つぎのような,働きの名前「f」と入力容器の名前「x」を使うものになる (「2x」は「容器xに入っている数の2倍の数」の意味):



    この入出力マシンに「変数y」も書き加えるならば,つぎの解釈になる:



    1. モノが,「入力」として,「x」という名の容器に入れられる。
    2. 「f」という名の「働き」が,「x」の中にあるモノを取り出し,加工し,結果を「y」という名の容器に入れる。
    3. 「y」の中にあるモノが,「出力」として取り出される。

    そして,式 (記号列) 表現はつぎのようになる: