Up | English ユークリッドの互除法  


    分数倍の値は,試行錯誤的に物を操作して求めるしかないように,一見思われます。 しかしそうではありません。

    分数の値を求める手順があります。すなわち,分数を値とするきちんとした測定法があります。 ──以下がそれです:


    (1) 分数で何倍か?


    (2) 左が右にいくつ入るか?
      ──2つ入って余りがでる。


    (3) 余りがもとの左にいくつ入るか?
      ──1つ入って余りがでる。


    (4) 余りがもとの余りにいくつ入るか?
      ── 2 つ入って余りなし。


    (5) 最後の余りが最初の2 量にいくつ入るかが,計算で求められる。
      ── 3と8。


    (6) 最初の2つの量を,3つと8つに共約する量がとれたから,
      求める分数倍は8/3。



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    この手順 ( 余り同士の互除を,余りがなくなるまで続ける) は,「ユークリッドの互除法」と呼ばれています。

    ユークリッドの互除法を使うと,つぎの両方が同時に得られます:
    • 二量の共約量(しかも最大共約量)
    • 分数の値(しかも既約分数)


    ユークリッドの互除法に対しては,これの操作がいつまでも続いて終わらない場合も,可能性として考えられてきます。 そして実際,そのような場合が存在します。
    例えば,正方形の1辺の長さと対角線の長さに対してユークリッドの互除法を施すと,いつまでも続いて終わりません。 ( √2 が無理数であることの証明)
    ここから,「分数 (有理数) ではない数」としての「無理数」の主題化へと進んでいきます。 ( 実数)