Up 「重力場」の時空 : 要旨 作成: 2019-08-31
更新: 2019-08-31


    ひとは,空間に対する座標枠 (直交座標) の措定を,自明に思う。
    特に,宇宙空間に座標軸を設定する様を思い描く。

    しかし,この<自明>は,根拠を持たない。
    これは,疑われてよい。

    疑う形は,「空間が曲がっていたら?」である。
    空間が曲がっていたら,座標枠の「直線」をどう定めるかを考えねばならない。
    そしてそれ以前に,同じ点が異なる座標を持ち得ること──座標枠設定の不可能──を思わねばならない。


    実際,「宇宙空間は曲がっている」と考えたとき,「直線」は,質量の自由運動の絵 (「測地線」) で想うことになる。
    そしてこの「直線」では,宇宙空間の座標枠はつくれない。

    但し,「宇宙空間の座標枠はつくれない」の意味は,「グローバルな座標枠はつくれない」である。
    局所的には座標枠をつくれる。
    そして宇宙空間は,局所的な地図を綴った<地図帳>で表せることになる。

    これを逆に考える:
      《 宇宙空間とは,もともと,局所的な地図を綴った<地図帳>として考えるものである》
    「局所的な地図を綴った<地図帳>」は,数学の「多様体」である。
    「グローバルな座標枠はつくれない」は,「多様体」に転じればよい。


    この時空論が,アインシュタインの一般相対性理論である。

    即ち,自由質点運動が現す「重力場」を,「曲がった空間」の意味にする。
    そして「リーマン多様体」を,この空間の多様体構造とする。