Up | 北緯50度以北圏の鉛直対流 | 作成: 2023-01-22 更新: 2023-08-31 |
高緯度圏鉛直対流系
北半球高緯度圏鉛直対流の年間変化 |
( earth.nullschool.net (気温) から引用) 偏西風とは何かの話は,北緯50度以北の対流──上昇流と下降流の系──の話である。 偏西風とは,この系の縁(ふち) の現象のことだからである。 立体の面がそれ自体で存在するものでないように,偏西風はそれ自体で存在するものではない。 上昇流と下降流の系である対流は,構造的に血液の動脈・静脈の流れに似るところがある。 血液は,末梢からの静脈流が心臓で動脈流に切り替わって末梢に向かう。 対流は,上昇流の終端となる上層部が下降流の始まりになる。 上昇流と下降流がそれぞれ静脈と動脈に,地上と上層がそれぞれ<末梢>と<心臓>に対応するというわけである。 単純化して絵に表すと,こんな具合である:
並立する上昇流・下降流は,並立の平衡を実現することになる。 現前の対流は,平衡を実現した形である。 これは,特につぎのようになっている:
上昇流が左で下降流が右であることに,物理学的意味はない。 地球進化史上の偶然でこうなったということである。 「互いに逆方向」──これがここの要点である。
一般に,上昇流・下降流の並立の必要は,《上昇流と下降流が互いに逆方向回転の渦》を現すことになる。 ──確かに並立の合理的なソルーションになっている: この対流は, 「ベナール対流」として研究されている。 大気の対流は,きれいな形で紹介されるベナール対流とはほど遠いが,原理は同じである。 上昇流・下降流の渦の並立模様が不規則で変動的なのは,流体としての空気の質と多様な攪乱の存在が理由である。 天気図は,対流の断面図である。 ──そのように見るべし。 |