Up 偏西風の存在論 作成: 2022-12-10
更新: 2022-12-10


    偏西風は,空気のランダムな運動のマクロ現象である。
    ランダムな運動が,マクロでは「偏西風」の形を現す──ということである。

    気象学は,偏西風を「空気のチューブ (トーラス)」と教える。
    しかし偏西風の的確なイメージは, 「川」である。

    チューブと川の存在論的違いは何か。
    チューブは「持てる」が,川は「持てない」。

    ここで, 「持てる」とは実体があるということであり,「持てない」とは実体がないということである。
    川は,地表の起伏に水が流れてできるものである。
    川を「持つ」ことは,地表の起伏を「持つ」ことになってしまうのである。

      足と足跡が,わかりやすい例になる。
      足は「持てる」が,足跡は「持てない」。


    大気の流れを理解することが困難なのは,大気の流れは「川」であり且つ「地表の起伏」だからである。
    互いに他から制約されつつ他を制約する。

    ひとは,この物理を表現する物理学をつくれない。
    そこで,フィクションをつくり出す。
    気象学は「角運動量保存」で説明をつくるが,その説明は気象学が「角運動量」の何たるかを知らないことを曝している。