Up 野性学 作成: 2024-01-14
更新: 2024-01-14


ひとは,人工物を生活インフラにして生きる者になった。
このインフラは,自然の力によって破壊されるのが定めである。
そうなったときは,インフラを再構築せねばならない。
再構築が叶わなければ,「他の地に移って生活を再構築」となる。

地方は,高齢化し,過疎化している。
そこでは,インフラが壊れたら,そのまま捨て置かれる。
終わるばかりの地なので,インフラ再構築に金を使うのは「無駄使い」になるからである。
実際,インフラの潰滅的破壊に対する行政の策は,「住民の立ち退きを推進」になる。
こうして地方でインフラが壊れることは,その地方が消滅することである。

都市だと,破壊されたインフラの再構築・生活の再構築は速やかに進められるか?
そうはならない。
このときは,生活難民の数の多さに阻まれる。

特に東京は,悲惨なことになる。
東京は,じきに直下地震に見舞われる。
そのとき,津波,大火災,地盤が緩んだ川の堤防の決壊,等が重なれば,難民の数は百万人単位になる。
行政は,彼らの行き場を采配することができない。
そして,津波で都心の地下が泥水に埋まる事態になったとき,それは都心のお終いになる。
ずっと使えない状態が続き,ひとの生活はこの期間を待てないからである。

そして,人工インフラに頼り切る生活の問題は,「破壊されたインフラの再構築」に限るのではない。
ひとは,資源の取り尽くしに邁進している。
いまの生活インフラは保てない。

ひとは,生き物である。
絶えず栄養をとらねばならない。
ひとは自分の栄養摂取を人工インフラに頼っているので,人工インフラが壊れると生きられない。

いまの生活インフラは,これからは萎んでいく一方になる。
この時代を生きられる者は,人工インフラに頼らずに毎日の栄養をとれる者である。
人間以外の生物は,人工インフラに頼らず生きられている。
「野生」が,彼らの生き方だからである。
翻って,生活インフラが萎んでいく時代に個人が生きる形は, 「野生」である。

というわけで,ここに「野生」を探求してみることになる。


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