Up 体内被曝量の計算──<半減期>の計算処理 作成: 2011-04-15
更新: 2011-04-15


    福島第一原発からの放射性物質の飛散は,最初の爆発によるものがこの後に続くものよりも圧倒的に多く,その桁違いの程はつぎのようであると推定される:
    最初の爆発で飛散した放射性物質が<半減期>の法則で減少していく推移が,放射性物質の量の実際上の推移になっている。
    2011-04-09 時点の状況認識

    そこで,放射能数値の安全/危険度は,いまの時点ではつぎのモデルで考えればよいことになる:
      「最初の爆発で,その後が決定。」

    ここでは,体内被曝の計算がこのモデルの場合どのようになるかを見ていく。
    ただし,計算を考えやすくするために,半減期が8日の放射性ヨウ素のみを,放射性物質として考えることにする。


    いま,<呼吸する・水を飲む・食事する>の形で,  
        1,A1,‥‥,An  
    の品目を,それぞれ毎日同量,摂取しているとする。

    「最初の爆発でその後が決定」のモデルでは,つぎの見方が成り立つ:
    各 Ai で,放射性ヨウ素の量が<半減期>の法則で減少している。
    ここで,さらに計算を考えやすくするために,つぎのように仮定する:
    <呼吸する・水を飲む・食事する>による放射性ヨウ素の体内取込みは,最初の時が,A1 〜 An 一斉に最高値。
    このとき,毎日の<呼吸する・水を飲む・食事する>による放射性物質の取込み量は,全体で,<半減期>の法則で減少していく。
    すなわち,最初に取り込んだ量がaベクレルであるとき,その時から時間x (単位:日) が経過した時点で,A1 〜 An 全部の摂取により取り込む放射性ヨウ素の量 f(x) は,つぎのようになる:

    このグラフから,毎日の<呼吸する・水を飲む・食事する>による<放射性ヨウ素の体内蓄積量>を求めることができる。

    簡単のために,<呼吸する・水を飲む・食事する>を「毎日零時に一回」のことにしよう。
    x日の零時に,そのときの体内蓄積量に f(x) が加わる。
    そして,翌日までの間に,体内の放射性物質が<半減期>の法則で減少する。
    このときの体内蓄積量の推移をグラフの手作業で求めると,つぎのようになる (赤色の部分):

    すなわち,「8日までは上昇し,5aベクレルまで行かないところでとどまり,そして10日過ぎると減少に転ずる」というグラフになる。

    以上は「最初の爆発でその後が決定」モデルに順った場合であるが,比較のために,「放射能数値を保つ具合に放射性物質の放出が続いている」モデルではどうなるかを,示しておく──この場合は,蓄積量が単純増加する:



    「最初の爆発でその後が決定」のモデルでは,放射性ヨウ素の体内蓄積量は 10日過ぎると減少に転じる。これは,放射性ヨウ素の半減期が短いためである。
    放射性セシウムのように半減期が長い場合だと,蓄積量は少なくともしばらくの期間,単純増加する。 よって,安全基準値をかなり下回る値であっても,軽んじることはできない。A1 〜 An が含有する放射性物質の量を継続的にチェックし,体内蓄積量の推移をしっかり計算していくことが必要となる。

    政府・マスコミおよびこれの御用になる学者は,いまのところ,この計算を示していない。 よって,個人のつぎの行動を指して「風評被害」と呼ぶのは,当たらない:
        政府・マスコミ・学者の言う「安全」を信用せず,
        <呼吸する・水を飲む・食事する>の用心に努める。