Up 量は数を通して対象化される  


    「割合論争」では,「数は量の抽象」の側から数は抽象,量は具体が言われた。量には内包量と外延量があるもこの感覚で言われたことである。

    しかし,「どれが量か?」と問われて「これが量だ」と指させるものは存在しない。「3メートル」は「3メートルのひも」のことではない。

    また,3メートルの長さのものがこの世にあるかどうかに関係なく,「3メートル」を意識に対象化することはできる。思考は,「メートル」と数を素材にして,「長さ」という量を概念的に構築する。

    つぎのように言うことができる:
      「言語が存在をつくる」と同じ意味で「数が量をつくる」。

    実際,量は,自然数を使うべく対象化すれば離散になり,分数を使うべく対象化すれば稠密になり,正負の数を使うべく対象化すれば正逆2方向になる。

    「数が量をつくる」の数学は,「普遍対象 (universal object」の話になる。 ──これについては,「「1と見る」の数学」の中で論ずる。