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完備性
有理数の切断では,「(有理数に)コツン(とあたる)」タイプと「(有理数にあたらないで)スルー(と抜ける)」タイプの二通りが生じる。 前者は,あたった有理数nを用いて,{ ]←, n], ]n, →[ } あるいは { ]←, n[, [n, →[ } で表せる。 これに対し,後者を記述する一般的形式は存在しない。 (
Dedekind 切断による実数の定義
)
実数になると,切断にスルータイプはなくなる──すべてコツンタイプになる。 特に,切断は,あたった実数nを用いて,{ ]←, n], ]n, →[ } あるいは { ]←, n[, [n, →[ } で表せる。
このことを,「実数の完備性」という。
「完備 (complete)」という表現は,「スルー」を生じさせる「穴」を「不備」と見ることに因る。 実数は,もはやこのような穴をもたない。そこで,「完備」と称する。