Up | 標本調査 | 作成: 2014-06-06 更新: 2014-06-17 |
統計
「標本調査」の指導 |
特に,「標本調査」を数学科の内容に組み入れるとは,この構成の授業が実現されることを見込むということである。 ここで留意すべきは,この内容が「数学科」の内容になるのは,「母集団・母数の推定」が数学だからである。 実際,「標本の平均・分散の計算」「正規分布近似」が,「母集団・母数の推定」の中身になる。 翻って,「平均・分散の計算」「正規分布近似」を授業にのせられないのであれば,「標本調査」は数学科の内容になるものではない。 そのときは,生活科の内容である。 なぜ,このことを改めて述べるかというと,平成23年度の中学校学習指導要領改訂で,「標本調査」が第3学年の内容にされることになったからである。 ( 平成23年度中学校学習指導要領「標本調査」) 学習指導要領は,「箱物公共事業」の一つである。 現場は,箱の中身を埋める作業に入る。 このことで,現場が活性化し,さらには社会の活性化につながる。 「箱物公共事業」は,当座の「活性化」に本質があり,箱の中身が埋まるかどうかは本質的な問題ではない。 実際,「箱物」は中身が埋まらないままになり (ゆえに「箱物」という),それの後始末を現場は負担していくことになるわけである。 中学数学の「標本調査」は,箱物である。 実際,『学習指導要領解説』 が提示している授業は,何のことはない,「生徒の話し合い」への丸投げである。 しかし,「箱物」としては,これでよいのである。 教師は,「生徒の話し合い」の回収の仕方で悩む立場である。 数学科の回収方法は<数学の提示>であるが,この場合,提示できる数学がないからである。 繰り返すが,「標本調査」を数学科の内容にするとは,「標本調査」の数学を授業することである。 そして,その数学は「平均・分散の計算」「正規分布近似」である。 しかしこれは,中学数学では扱えない数学である。 かといって,《「標本調査」の単元は,たいそうに考えずに,子どもを遊ばせていればよい》調で授業を構成できるわけでもない。 |